川堤

夕暮れ時の川堤 少し冷たくなった風

涼子と隆二が 膨れたビニール袋を手にし

ゆっくりゆっくり 歩いている

 

(オレね きっとね 歌手になるよ)

(へえ じゃあ もっと頑張らないとね)

(うん 今度さ のど自慢に出てさ 絶対優勝だ!)

“川堤” の続きを読む

反射

光が射してくる 窓の外から そっと

暖かな感じがあり 早秋の香がする

スヤスヤ寝ていたいが それもままならぬ

 

起きなければならぬ そう思いながら

蒲団を出る 嫌だと感じながらも 立ち上がる

“反射” の続きを読む

時間と羨望

暇を見ては寝ている うちのワンコ

クルッと丸まり スヤスヤすることもあれば

ワニのような姿勢で フウフウしていることもある

 

彼女には彼女の感じる時間がある

目にする度 こんなことを想ふ

“時間と羨望” の続きを読む

白い煙

白い煙が 昇ってゆく

ゆったりと くゆりとしながら まったりと

 

汚い天井に ひと塊の白い雲

次第に割れ ふっと消えてゆく

“白い煙” の続きを読む

帰って来ました

あの子が 帰って来ました

わたくしには そう感じられるのです

 

爽やかで 健やかで 元気で

自然と 心地良くなるような

透明な声を 伴って

“帰って来ました” の続きを読む