単純さと複雑さの混在 The Forum BBC World Service

日頃はibVPNのようなVPN業者を使っていますが、先日セグメントに関係なく聞けるBBC World Service(インターネットラジオ)で、The Forumという番組を聞きました。テーマがThe Benefits of Simplicityというもので、わたしなりに訳してみると、単純さの利点、となるでしょうか。主に建築物が取り上げられ、日本ばかりでなく、北欧やイベリア半島の専門家なども登場していました。あくまで「フォーラム」であるので、侃々諤々の議論という訳ではなく、淡々とした会議のようでした。

 

そんな中、わたしが聞き取れたことは、日本、とりわけ、東京においては、建築物がシンプルな形をしているが、街並みは複雑だということです。しかし、複雑だからと言って批判しているのではなく、そうであるからこそ、面白さがあるというものです。日本以外が専門の出演者も、東京を何度か訪れたようで、街が複雑であるので、ガイドブックが必須のようなことを言っていました。けれども、むしろ喜んでガイドブックを多用していたようです。もしかしたら、宝探しと似たような楽しさが、東京にはあるのかもしれません。

 

正直、さいたま市に居住しながらも、自宅勤務であるので、東京へはしばらく行っていません。仮に訪れる機会があれば、ほとんどお上りさんのようになるかもしれません(笑)。けれども、自分の記憶の中では、確かに街並みは複雑でありながらも、建築物がシンプルでもあります。しかも、自然災害などの危険性が高い地域があるとはいえ、ところによっては、新旧の建築物が混在し、外から来た人には、ビックリするような光景となるのでしょう。おそらく典型的であるのが、浅草や神楽坂などかもしれません。

 

また、The Forumを聞きながら、若い頃に見聞きしたことを思い出しました。生物には、単純系と複雑系があり、それらがどのように関係し合っているかが、最大のテーマだということです。もちろん、数十年も前のことであり、現在では色々な見解が出ているかもしれません。けれども、単細胞生物などと自分の体が関係し合っているということは、なかなか実感が湧かないかもしれません。むしろ、寓話などを使われた方が、わたしのような者には理解し易いと言えます。

 

さらに、有名な西田幾多郞の言葉も思い出しました。すなわち、絶対矛盾的自己同一というものです。必ず矛盾していながらも、自分の中では一つになっている、と解釈できます。矛盾をも自己で抱え込み、昇華できるとも言い換えられるかもしれませんが、よくよく考えれば、生き物自体、生まれたのに死ななければならず、非常に矛盾した存在です。しかも、人の場合、死すべき存在でありながらも、考えることができます。考えに終りはなく、いつまでも問い続けることができます。回答が出て来れば、それが疑問となり、さらに答えを見出しては問いかけが始まります。

 

仮に終止符を打ちたいのであれば、何かを信じるしかないのかもしれません。個人的には、宗教かイデオロギーであると思っています。あるいは、科学を含めることもできるかもしれません。さらに、意識的に回答を見つけないようにすることも、打ち止めする手段の一つかもしれません。要するに、肉体が有限であるとしても、思考は無限であり、この両者を抱えているのが人である、ということです。

 

もっとも、これは、わたし自身が見つけたことではなく、大好きな池田晶子が語っていたことです。いまだ彼女から抜けきれないのもまた、わたし自身でもあります。(笑)

 

ともあれ、The Forumを耳にし、忘れていた何かを思い出しました。忘却と記憶もまた、矛盾しているのでしょうが、しっかりとわたしの中にもあります。単純さと複雑さが混在しているということは、結局、至極当たり前のことかもしれません。

 

なお、単純さと複雑さの混在は、日本ばかりの特権ではないようです。世界中に見受けられ、The Forumの中でも取り上げられています。しかし、各国それぞれの特徴などがあり、文化とも非常に関係しているようです。やはり、日本の場合、仏教や神道などの影響が大きく、建築物ばかりでなく、この列島で育った人々の心にも当てはまるように思います。一見すると、歴史が途切れているようですが、実は忘れているだけで、現在においても脈々と受け継がれているのかもしれません。

 

 



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