Football is coming home. 2つのフットボールとイングランド

世の中には2つのフットボールがある。すなわちサッカーとラグビーである。どこかしら近親性を感じ、多少なりともサッカーの経験があるので、サッカーの延長でラグビーを見ている。

 

そもそもサッカーの試合で足ではなく手でボールを持ってプレイしたことから、ラグビーが始まったとも言われているので、近しい関係であることは確かだろう。サッカーからラグビーに移ったキッカーも多いようなので、至極当たり前かもしれない。

 

しかし近年は、とりわけ近親性が顕著に出てきているようにも感じる。たとえば最近のサッカーは前線からの守備が当然のように重視されている。要はFWの守備範囲が広がったのだろうが、ラグビーのFWも似たような面があろう。

 

相手がボールを持ったら、タックルを仕掛ける。前から潰していき、ボールを奪ったら後ろから押し上げて来た選手が相手陣地内にどんどん侵入して行く。

 

当初ラグビーを見ていて、FWなのにサッカーとは違うと思ってたら、屈強な選手が多く、相手を潰すことが第一の役割のように感じた。現在のサッカーは、屈強な選手ばかりがFWではないが、役割としては似たような面があるだろう。

 

もちろん、サッカーのFWは点取り屋でもあるので、自分でボールを奪ったらそのままゴールをも狙いに行く。おそらくラグビーでも同じようであろう。

 

 

またキックの活用である。わたしの知る限り、2011年のワールドカップ辺りから顕著になったと思う。徐々にラグビーでもキックが有効利用され、最近ではサッカーでいうスルーパスのような形で相手のラインの裏にボールを蹴り、足の速い味方選手がボールを奪ってトライというシーンが結構ある。

 

またポゼッションに関しては、サッカーもラグビーも共通しているように思う。自分たちでボールを回し、タイミングを見て相手の守備網を崩していく。できるだけ長くボールを持ち、綻びを探す、あるいは、綻びを作り上げていくのだろう。

 

これを考えると、本年(2018年)のFIFAワールドカップ・ロシア大会におけるイングランドの準決勝進出は、あながち偶然ではないかもしれない。わたしから見れば若さゆえに準決勝で敗れはしたが、彼らはプレミアの申し子そのものでもある。

 

元々プレミアは「走ってぶつかるサッカー」と言える。攻守の切換が早く、しかも当たりも激しい。伝統的にイングランドは、ロングボールを主体としたサッカーだった。MFを超えてバックから直接FWへボールを渡し、そのままゴールを目指す。

 

効率性の高いサッカーとも言えようが、単純と言えば単純かもしれない。しかしロングボールを放ることで相手DFと体と体でぶつかり合い、ラグビーのハイパント攻撃と似ていよう。ボールを高く蹴り上げ、そうして味方選手が駆け上がりボールを奪う、あるいは、蹴った本人が向かっていくこともある。

 

近代サッカーが始まったばかりの頃、イングランドやスコットランド等のUK内のチームは、ラグビーのようなサッカーと言われてたようだ。しかし時代を経て、徐々に現在見慣れているようなパスサッカーに変わってきた。

 



 

イングランドの場合、1994年のワールドカップ出場を逃し、ロングボール主体のサッカーを止めた。そこから試行錯誤を繰返したのだろうが、ワールドカップではベスト8からなかなか勝ち上がれなかったが、今回ようやく1990年大会に追いついた。

 

それは何を意味するか? 時代がイングランドを呼び込んだのかもしれない。ロングボール主体のサッカーを捨てたとはいえ、基本は「走ってぶつかるサッカー」である。この伝統はずっと続いているのだろう。

 

そしてわたしの見るところ、「走ってぶつかるサッカー」はラグビーとも共通している。これはやはり「近代サッカー」と「近代ラグビー」を生み出した、まさにイングランドだからこそできているように思う。

 

先で見たように、現在のサッカーとラグビーには、それぞれの要素を取り入れ、それがより強くなっているように感じる。もしかすると、これは「原点回帰」とも言えるのかもしれない。

 

 

もともと近親性が高いスポーツ同士であり、それがますます顕著になってくる。ロシアW杯でイングランド代表が準決勝進出を決めた瞬間、HideIPVPNを使ってBBCで視聴していたが、実況アナウンサーがこんなことを言っていた。

 

「Football is coming home.」(私訳:フットボールが故郷に帰って来る。)

 

フットボールというと、アメリカン・フットボールを思い浮かべる人もいるかもしれないが、UK内ではサッカーを意味している。わたしなりの解釈であるが、実況の言葉にはラグビーをも含めることができないか? ラグビーの正式名称はrugby footballである。

 

来年日本でラグビーのワールドカップが開催される。イングランドも出場するが、2018年7月の段階で世界ランキング第4位であり、優勝候補の一角とも言える。実際2003年の大会では優勝もしている。もし来年の日本大会で準決勝以上へ進めば、2つのフットボールの世界大会で大きな成績を収めることになろう。

 

「Football is coming home.」

 

現代のサッカーとそしてラグビーの2つを見事に言い表しているように思うが、いかがだろうか?

 

参照
- オシム「サッカーの未来が分かる試合」 クロアチアvs.イングランドの重要性。 (Number Web)