好きではなくても、印象に残っている 二冠馬ミホノブルボン

競馬好きであれば、多くの人が知っていることだろう。本年(2017年)2月22日、ミホノブルボンが亡くなった。24日付で、以下のようなニュースが、JRAのサイトにアップされた。原因は老衰ということで、仕方ないと思うかもしれない。

 

– JRAニュース
ミホノブルボン号が死亡

 

ミホノブルボンについては、すでにこのサイトでも取り上げている。昨年の菊花賞に絡め、ライスシャワーとの対決や個人的な思い出などを述べていた。ライスシャワーは後から出世した感があるが、2頭の対決は、手に汗握るものだった。

 

– 競馬の部屋
菊花賞の思い出は、斜光に彩られたミホノブルボンとライスシャワー

 

上記の記事の中では、30歳近い年齢で存命中と書いている。その翌年に訃報を聞くとは、なんとも皮肉な感じがしている。正直なところ、ミホノブルボンは、思い出があっても、トウカイテイオーのように好きな馬、とは言えない。けれども、どうしても寂しさがある。

 

訃報であるのだから、当たり前と言えば、当たり前である。だが、わたしの第一次現役時代に活躍し、第二次競馬ブームの真っ最中の馬でもあった。リアルタイムで経験し、ラッキーであったと同時に、歴史の彼方へ立ち去ろうとしている。格好付け過ぎかもしれないが、「ゆく河の流れは絶えずして・・・」という想ひが、自然と生まれてしまう。何より、自分もまた、年齢を重ねていることの証でもあるのだろう。

 

先述しているように、ミホノブルボンについては、菊花賞に絡め、このサイトで話題にした。けれども、個人的には、1992年自体がミホノブルボンのための年であったように思う。三冠レースに出走し、4月の皐月賞、5月の日本ダービーを勝ち、二冠馬となった。シンボリルドルフ以来の三冠馬誕生が期待されていた。

 

しかし、結果は、わたしの記事の中でも語っているように、菊花賞で2着に敗れた。物は取りようで、変形三冠馬とも言えるだろう。そうは言ってもやはり、公式には、菊花賞を勝って初めて三冠馬と言える。当時のわたしは、残念だ、という思いがなかったとは言えないが、なって欲しかった、という気持ちもなかった。その時から悪役のようなトウカイテイオーが好きだったので、同じ二冠馬になっても、感慨は沸かなかった。

 

けれども、ミホノブルボンのレースで印象に残っているのは、二冠目となった日本ダービーである。東京競馬場の2400メートルを逃げ切り、その2年前のアイネスフウジンを連想した。そして、多くの人が驚いたライスシャワーの2着である。これによって、2頭のライバル関係が出来上がったことは間違いないだろう。

 
 

 
 

創設者よりも二代目三代目の方が、メジャーになる傾向があるように、後続組とも言えるライスシャワーが古馬になって、さらに活躍した。それに対し、ミホノブルボンは菊花賞に敗れた後、早々に種牡馬となった。そして、ミホノブルボンが二冠馬になった翌々年に、シンボリルドルフ以来の三冠馬となるナリタブラインが登場した。これもまた、なんとも皮肉な感じがしている。もしかすると、ミホノブルボンという競走馬は、つなぎ役のようであり、二冠馬でありながらも、脇役のような役割だったのかもしれない。

 

中には、そんな馬がいたなあ、と忘れている人もいることだろう。けれども、あまり好きではないのに、わたしはミホノブルボンを忘れなかった。輝いた栗毛の馬体が印象深かったこともあろうが、地味めな存在感とアイネスフウジンのような脚質に、どこか思い出を越えたものがあったのかもしれない。

 

1992年と言えば、わたしが大学2年の時だった。長い浪人生活を経て、ようやく入学できたが、高校の授業と変わらない生活に嫌気がさし、2年の時は、あまり講義を受けなかった。学校へ行っても、視聴覚ライブラリーへ行き、映画やドラマを見ていた。そこで小津安二郎を知り、「東京物語」や「秋刀魚の味」などを鑑賞し、今でも好きな映画となっている。見方によっては、荒んだ学生生活であった。そういう時での二冠馬であったので、自分の境遇などと重なり、心の中に残ってしまったのかもしれない。

 

ミホノブルボンのような訃報は、これからもニュースで流れるであろう。仕方ない、と思いながらも、どこかポッカリとした心の空白を拭い去ることはできない。時は進んでいくもので、馬も人もまた、年を重ねていくものだ。けれども、やはり、寂しさを感じざるを得ないのは、わたしだけであろうか?

 
 

参照 : 

- ミホノブルボン(JBIS)
- 1992年 日本ダービー 競走成績(JRA)

 

- 競馬の部屋
- 忘れられないアイネスフウジンとナカノコール
- 転んでもただでは起きなかったトウカイテイオー

 
 

 



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