転んでもただでは起きなかったトウカイテイオー

2013年の夏、わたしにとって何とも言えないニュースが飛び込みました。三冠馬シンボリルドルフの子で、自身も皐月賞と日本ダービーの二冠馬となったトウカイテイオーが亡くなったことです。心不全によるもので、25歳でこの世を去りました。

 

その数ヶ月前に、わたしは競馬を再開しました。JRAのホームページで出馬表を見ながら、かつての「現役時代」を思い起こし、当時活躍していた競走馬についても、独り頭の中で懐かしんでいました。その中にトウカイテイオーがいました。

 

印象に残っているレースが2戦あり、一つは別記事でも少し触れた1992年のジャパンカップ、もう一つが引退レースとなった1993年の有馬記念です。しかし、トウカイテイオーがトウカイテイオーである、と言えるのは、負けたレースではないでしょうか? それがあるからこそ、勝ったレースが光っているといえ、転んでもただでは起きなかったと思います。

 
 

たとえば、1992年のジャパンカップで勝利する前、春と秋の天皇賞に出走しました。春の天皇賞のトライアルレースである産経大阪杯で、圧倒的な強さを見せつけました。阪神競馬場の最後の直線を鞍上の岡部幸雄がムチを入れず、ゴールラインを駆け抜けました。多くの人が、次戦の天皇賞は、トウカイテイオーだろうと思っていたかもしれません。けれども、結果は5着に敗れました。

 

この春の天皇賞は、シチュエーションとしては、ミスターシービーとシンボリルドルフの対戦に似ています。1983年と1984年の三冠馬対決でしたが、ミスターシービーが5着、シンボリルドルフが優勝しました。皮肉なことに子であるトウカイテイオーは、ミスターシービーと同じようになりました。

 

勝利した馬は、メジロマックイーンであり、中距離以下の芦毛の怪物がオグリキャップであれば、長距離の芦毛の怪物がメジロマックイーンであるかもしれません。1991年の春の天皇賞でも、メジロマックイーンが優勝し、トウカイテイオーを破ることで、二連覇を果たしました。ちなみに、当時若手ホープの一人であり、今ではベテランの一人である武豊が騎乗していました。

 

 

 

また、上記で述べた1992年のジャパンカップの後、トウカイテイオーは同年の有馬記念に出走しました。ジャパンカップで勝利し、多くの人がトウカイテイオーが復活したと思いました。しかし、ゲートが開くと、差し足の馬らしからぬスタートでした。ダッシュが聞かず、馬群に埋もれたまま、ゴールラインを駆け抜けることになりました。おそらくトウカイテイオーの限界は、ジャパンカップまでと思った人が多数だったのではないでしょうか?

 

しかし、ただでは起きないのがトウカイテイオーです。1992年に続き、1993年の有馬記念に出走しました。一年間休養し、人気もそれほど高くありませんでした。けれども、スタートが切られ、正面スタンド前当たりから前目の競馬に移り、そうして、最後の直線で一気の差し足を見せ、見事一年ぶりの復活劇を演じました。いずれの実況アナウンサーも興奮しながらトウカイテイオーの勝利を伝えていたことは、重々お分かりいただけるでしょう。これで翌年の春の古馬戦線が楽しみにもなりました。

 

 

 
 

けれども、年が明けてからケガが続き、復帰レースに出走することはなく、1994年秋に引退することになりました。七転び八起きの競走馬であっても、三度目の復活はならなかったと言えるでしょう。そうは言っても、4歳(数え年)クラシック戦線での二冠、古馬になってからのG1二勝は、多くの競馬ファンの記憶に残ることになりました。

 

さらに、トウカイテイオーは、独特の長い前髪を有し、トレードマークのようにもなっていました。競馬ファン以外にも知られる存在となり、やはり、第二次競馬ブームが産み出した人気馬の一頭でしょう。

 

そういえば、1992年のジャパンカップの前に、JRAのテレビCMを見たことがあります。牧場で働く女性が独白する内容で、地味なことをコツコツすることが自分に似合っている、と語っていました。考えてみれば、栄光を掴んでは地に落ち、さらにそこから這い上がって来たトウカイテイオーも同じようであったかもしれません。ここに意味を見出す人もいるかもしれませんが、それはその人自身の判断に任せたいと思います。(笑)

 

いずれにせよ、わたしの中では、トウカイテイオーは思い出深い競走馬です。自分で投票を始めてから最初の二冠馬であり、しかも、再開した年に亡くなりました。勝手な思い込みでしょうが、何かしらの縁を感じてしまいます。別記事でも書いていますが、競馬はギャンブルでありながらも、それだけではない面があります。それを象徴しているのが、わたしのような者にとっては、トウカイテイオーかもしれません。

 

 



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