派遣時代を思い浮かべる 篠原涼子主演 ハケンの品格

先日、篠原涼子主演「ハケンの品格」を視聴した。2007年に放映されたものなので、今さらと思う人も多いだろう。けれども、わたしにとっては、放映当時、噂を耳にしながらも見ることはなかった。

 

また、最近になって、雪平刑事を演じる篠原涼子がお気に入りとなり、彼女が出演している作品を見たくなった。その延長で「ハケンの品格」を選んだ。また、わたし自身が、約10年の間、登録型派遣社員として会社勤めをし、ハケンの文字が目に付いたからだ。

 
 

 
 

まず、「ハケンの品格」の全体的な感想としては、テレビドラマらしい、ということだ。キャラクター重視で、コミカルなストーリー展開や演出が、非常に分かり易い。このため、作品中での派遣への対応が全て事実かと言えば、強調されていることもあろう。経験上、ほぼ公平に仕事をこなせることもあった。けれども、やはり、期間工のような契約であるため、わたしが派遣社員になったばかりの頃は、多くの正社員がアルバイトと認識していた。結局、会社によって対応が違うというのが、現実的ではないだろうか?

 

しかし、自分自身を振り返った時、特にこの番組が放映されていた2007年は、バリバリの派遣社員だった。当時、外資系e-コマース企業で働き、バイヤーアシスタントを勤めていた。時に正社員にアドバイスすることもあり、チームの正社員とは上手く付き合っていたと思う。そんな中、飲み会があり、スーパー派遣という言葉を聞いた。

 

すでに2年近く勤めていたので、女性派遣社員であれば、お局級であろう。周囲の社員は、派遣でいることを不思議がっていたようだ。だからこそ、スーパー派遣という言葉も出てきたのだろう。また、新人にアドバイスすることもあり、これもまた大きな要因だったかもしれない。

 

篠原涼子演じる大前春子が、キツイことを口にしている場面では、オレもこんな風に見られたのかな?、などと思った。あそこまでツンデレではないが、極力煩わしい人間関係を作らないようにしていたことは確かだ。それは結婚生活で痛い目を見たため、とりわけ、女性に対しては、一緒に働きたいと思いながらも、距離を置いていた。

 

けれども、このドラマでも感じられることだが、同じ場所で長い時間仕事を続けていると、どうしても仲間意識が出てくる。それが日本人、とも指摘できるかもしれないが、ヘルシンキ症候群と呼ばれるものもある。極論であろうが、それに似たようなものだ。しかも、外資系e-コマース企業では、チーム全員が一斉に残業だったこともある。オフィスの入っているビル自体が22時で閉まるが、その時間まで全員で仕事をしていたこともあった。

 

そうなるとテンションが高くなり、意外な一面が出てくる。次第に相互の壁が薄れ、仲間意識が余計芽生えて来る。これが自然な流れではなかろうか? 「ハケンの品格」でも、大前春子は、最終的に心を開いたと言える。ツンデレ女性を演じたら、ピタリとハマる篠原涼子だからこそ、余計それが伝わって来るのかもしれない。(笑)

 

だが、わたしのような者には、とりわけテレビドラマには、下らなさを感じることもある。ストーリーを安易な恋愛にすり替え、お茶を濁そうとする。大衆娯楽とはそんなものか、と思う自分もいる。しかし、それが人でもあり、だからこそ日本では、男女が和歌を詠み合った歴史がある。色恋沙汰は古今東西、興味をそそられるものだろう。「ハケンの品格」もそれに落ち着いた。正直、下らなさを感じながらも、それで良し、という自分がいることも間違いない。

 
 

 
 

いずれにせよ、「ハケンの品格」を見ながら、自分の派遣時代を思い浮かべてしまった。ついついあの人たちは、今頃どうしているのか?、などと思った。まだあの職場にいるのか、それとももう離れてしまったのか、真相は藪の中だ。

 

ただし、このドラマでは、紹介予定派遣が取り上げられていたが、登録型派遣から正社員になる道もある。同一の職場と職種で3年間勤めれば、会社がオファーすることが決められている。しかし、こういうケースは、会社が好まないかもしれない。そこで、派遣会社の言う「中抜け」が行われる。言い換えれば、派遣契約半ばでの引き抜きである。

 

派遣会社は、たとえ登録型であろうと、自分たちの人材であると考えているので、「中抜き」を嫌がる。そのため、契約途中ということで、移籍金を要求する。これは実際、先で触れた外資系e-コマース企業であったことだ。そうは言っても、受け入れ側の企業も、余計なお金を払いたくない。そこで、一旦派遣契約を切りの良い所で終了させ、その後黙って直接雇用に切り替える。これに対しても、異論を唱える派遣会社もあるようだが、職業選択の自由がある限り、働く側が決めることだ。

 

「中抜け」に関しては、あまり表に出ていないかもしれない。派遣会社でも、そのことについてきちんと述べているのか否かは、分からない。けれども、繰り返すようだが、働く自分が判断することである。そして、その時の状況によっては、スムーズに行かないこともあり、働くことの難しさを感じるかもしれない。

 

ちなみに、外資系e-コマース企業の正社員が、わたしに直接雇用を勧めてきた。一度目は断り、二度目にそうしたい旨を伝えた。けれども、e-コマース企業と派遣会社との関係がギクシャクしてしまい、いつの間にかヘッドアカウントも無くなり、わたしの契約が本当に切れることになった。別に恨み辛みはないが、わたし自身、縁や業などを重視している。それらを強く感じられれば、もっと積極的になっていただろう。愛着がないと言えばウソになるが、これもまた、自分に課された運命のようなものである。

 

「ハケンの品格」は、女性が主人公であるが、男性版が出てきても面白いかもしれない。わたしが派遣社員になり始めた1997年であれば、派遣は女性のもののように見られていた。しかし、2007年であれば、おそらく男女比は半々になっていただろう。この点では、少し古い感覚でドラマが作られていたと言える。男性版スーパー派遣の話も、多くの人が視聴するかもしれない。

 

なお、時給3000円は、実際にあると思う。知る限り、プログラマーやSEなどの職種では、それだけの額になり得る。しかし、「ハケンの品格」では、事務職での時給であり、だからこそスーパー派遣なのだろう。

 

長くなった。中身の薄いレビューとなったが、今回はこれまでである。

 
 


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