純粋に見守っていこうと決意したラグビー明早戦 第56回全国大学ラグビーフットボール選手権決勝

本年(2020年)1月11日、新国立競技場で第56回全国大学ラグビーフットボール選手権の決勝が行われた。明治大学と早稲田大学の一戦であり、会場には5万人以上の観客が集まった。

 

もともと明大と早大と言えば、ラグビーではライバル関係であり、プレイスタイルも真逆で「縦の明治、横の早稲田」と呼ばれている。もっとも現在ではプレイスタイルに変化も見られるが、伝統校としてのプライドは健在であろう。

 

しかもラグビー史上最大の観客動員を記録した対戦であり、約6万人のファンが旧国立競技場へ訪れたことがある。昨年のW杯の影響があるとはいえ、元々集客力のあるコンテンツであり、5万人以上集まって当然と言えば当然であろう。

 

そうであっても明大と早大の決勝は26年ぶりのことで、伝統校の復活を印象づけた。熱い戦いが繰り広げられたことは間違いないが、意外な展開であったとも言える。

 

前半、早大ペースとなり、明大は無得点だった。キックオフの笛が鳴ると早大の速いプレッシャーに圧倒され、得点を取る前からあたふたしていたように見えた。

 

早大の術中にハマった感じであり、前半は早大が31-0と明大を大きくリードした。心なしか、新国立競技場がかなり静かになっていた。

 



 

だが昨年王者の明大は意地を忘れなかった。後半猛追し、5トライを奪った。落ち着きを取り戻し、いつもの明大に戻ったようだった。

 

もしや、という期待も膨らんだ。しかし結果的には前半の得点差が大きく響いた。45-35で早大の勝利となり、11年ぶりの大学日本一となった。

 

後半、明大が猛追する中、早大が2トライを決めた。もし無得点であったら、明大の大逆転劇となっていたが、そうそう甘くはなかったのだろう。

 

おそらく明大のメンバーは早大が最初から速いプレッシャーを仕掛けてくるとは思ってもいなかったのかもしれない。ふと、サッカーのU-23日本代表対韓国代表戦を連想した。

 

 

サッカーとラグビーは現在では違う競技であるが、もともと同じルーツを持つスポーツである。だからこそ似たような面も感じ、正直サッカーの延長でラグビーを見ている。

 

U-23日本代表対韓国代表戦は本年行われた東アジア選手権の決勝である。試合開始早々から韓国代表の強烈なプレッシャーに日本の若い選手たちが圧倒された。結局何もできず、いや、立ち向かっていく姿勢が見られず、2-0で韓国代表の勝利となった。

 

明大の前半はまさにU-23日本代表と似たような感じだった。どうしていいのか分からない雰囲気が漂い、得点を取られるに連れ、深みに嵌って行ったとも言えよう。

 

しかしU-23日本代表と決定的に違った点は、明大が巻き返したことだ。元々自力があるのでできたとも言えるが、彼らの意地が猛追を生み出したことも否定できないだろう。

 

 

見ている者が心を打たれるような熱い試合であり、ゲーム終了のホイッスルが鳴った後、スッキリした感じが生まれたことも確かだ。そしてもう一つ、実に個人的なことだが、これから純粋に明大ラグビーを見守っていこうと思った。

 

わたしは明大OBであり、90年代初頭に入学した。当時は明大ラグビーの全盛期で70年代以来だったと思う。旧国立競技場で観戦し、早大に勝利した姿を生で目にすることができた。

 

チケットが入りにくいことは入学後に聞かされた。しかし現役生が優先ともいえ、サークルに入っていれば比較的入手しやすいようだった。早大との試合で多くの観客が集まるのも、こういう現役生を優先していることも関係していよう。

 

けれども生観戦では嫌なこともあり、明大ラグビーをじっくり目にすることもなくなった。しばらく結果を追いかけてはいたが、90年代は勝って当たり前の時代だった。21世紀に入って転機が訪れ、明大の低迷期が始まった。

 

実は00年代初頭に派遣社員として明大で勤務したことがある。職員から明大ラグビーが弱くなったと耳にし、そう言えば大学選手権でも決勝に来たというニュースを聞かなくなった。

 

理由は色々あるだろうが、あの神戸製鋼でさえ低迷期を迎えたこともある。常勝を続けることがいかに困難であるかを物語っていよう。

 

 

だが今の明大は完全復活したと言える。一昨年の大会から三年続けて大学選手権の決勝へ進み、昨年は優勝を果たしている。黄金期の再来と見なしても過言ではないだろう。自慢にもならないが、人生で二度も母校の黄金期を目にできることは、ある意味幸せかもしれない。

 

来年は大学選手権の決勝で早大にリベンジ。

 

実現して欲しいし、伝統校が強いからこそ新興勢力が生まれ、大学ラグビーばかりでなく日本ラグビー界全体を盛り上げていくとも思う。帝大の9連覇が象徴的ではなかろうか?

 

そう言えば、わたしがラグビーを知ったきっかけは長兄だった。彼が高校の体育の授業でラグビーをするので、母が手縫いのヘッドギアを作っていた。

 

 

当時は70年代後半辺りで、新日鉄釜石が強かった。1月の名物と言えば、サッカーの天皇杯とラグビーの日本選手権で、毎年のようにテレビで見ていた。

 

釜石に思い入れができてしまうのも、こういう子供の頃の経験もある。もちろん明大OBが活躍し、現役引退後テレビで目にしていたことも否定はしない。

 

現在では明大ラグビーを見守っていたいと正直に思っている。大学選手権は終わったが、春季大会があり対抗戦も待っていよう。JSPORTSのラグビーパックに加入しているので、これからも楽しみが続いてゆく。

 

 

参考:

- 第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 決勝

- 第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 決勝 記者会見レポート

- 明大V2逃し主将「準備の差。前半失点でパニック」

- 明大・田中監督「人材の墓場」から再建「誇り」準V