初々しい船出

初めてスーツを着たのは 派遣社員

正社員志望はなく 派遣社員でも大きな変化

 

当時のオレには 四つの肩が乗り

心にぽっかり からっ風が吹きながら

粋がりと 思い込みの責任感で 生きていた

 

脳裏を過る 蕨にある電気会社

銀行プログラムのコピー 大量のフロッピー

中身など知らぬ ただ単に機械の終わりを待つ

 

それでもタイミングを図り 同時に何千枚もコピーさせる

意外に頭を使う 世は逆説だらけ 矛盾だらけ

こんなところでも 思った

 

つまらない人間関係 陰口を叩き合うオヤジたち

業務範囲の狭い 愛想だけいい オバちゃん

笑い声のする 隣のチーム わがチーム 沈黙の館

 

それでも 粋がりと 

思い込みの責任感で 続けていた

オレがしなくては 度量もないくせに

 

一時期感謝されるも 次第に課長と相反

タイムカードで 揉め事を起こす

経営不振となり 人員整理

 

時は90年代後半 バブルの影響が

まだ尾を引いていた 実体経済には

遅れてやって来る 実感だ

 

業務開始半年後 試合終了のホイッスル

まあいいか 次がある 

そんなことを思いながら 次の職場を求めた

 

初々しい船出 オレには縁遠い

考えもしなかった 想定外の重荷が

学校出のオレの 船出だった 

 

初々しい船出 オレには関係ない

頭にない港 映像でしか見ない港

見送り手のない船に オレは乗船した

 

それでも 後悔はない 文句もない

だってこれが オレの生き方で オレの生きた道で

オレが選んだことだから

 

それぞれに それぞれの航路がある

懐かしい思い出 今はそれでいっぱいだ

投影や嫉妬なんて それこそ縁遠いものだ

 

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コイン