夢想

知らぬ間に手足も効かず 身一つ

顔を見られれば 施しの眼差しを受け

そそくさと隠れるように 立ち去る

 

部屋を見渡せば ガランとし

あるのは 食器棚とパソコンとテーブルのみ

 

テレビもラジオもいらない パソコンだけで十分

おそらくオレは そういう輩の最初の世代

 

ふっ 世代論は ここまで来ても 好きではない

 

オレの体は オレが一番よく知っている

いつかは旅立つ すでに感じている

 

時に去来する オレの過去

時に振り返る オレの道程

時に心が沈む オレの後悔

時に納得する オレの風景

 

仕方ない それが定めさ

慰みでも それが業でもあるのさ

 

寂しさは生まれる 侘しさも生まれる

当然さ オレも人の子さ

 

それでも オレは溺れたくない 甘えたくない

だって 旅立ちは誰にでもあり 旅立ちは独りだから

 

知らぬ間に手足も効かず 身一つ

顔を見られれば 施しの眼差しを受け

そそくさと隠れるように 立ち去る

 

時折浮かぶ オレの夢想 

所詮歴史とは こういうものかもしれない

 

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