賞典台から乾いた声が発せられた
ブゥゥゥウウウ ブゥゥゥウウウ
法螺貝の音 荘厳な雰囲気が醸し出される
ブゥゥゥウウウ ブゥゥゥウウウ
音が止むと 相馬藩国歌が流れた
麗しくうら若き声でありながら
地の底から湧き出るように周囲を包み込む
夕暮れの空が伴奏していた
わたしの心には 微笑みが生まれた
同時に 唇を噛みしめる己もいた
麗しくうら若き声が響く
空の彼方から武者たちが現れたような気がした
相馬藩国歌が終わり 旗をなびかせた
サラブレッドたちが走り出した
賞典台の向こうを瞬く間に駆け抜けた
再び法螺貝の音が鳴った
ブゥゥゥウウウ ブゥゥゥウウウ
ブゥゥゥウウウ ブゥゥゥウウウ
袴姿の人々が どこか霞んでいた
雲雀ヶ原での陣 まだ見たことはない
母の故郷 ははたちの古里
ほんの少しだけ 悔いる気持ちが和らいだ