桜の開花が早い年

今年(2018年)は桜の開花が早い。すでに東京では満開を迎え、多くの花見客も出ているようだ。観測史上3番目に早いとのことで、個人的には感慨深いものを覚える。

 

- 産経ニュース

都心、3番目に早く桜満開 春の陽光、花見にぎわう 

 

1番目に早かった年が2002年、2番目が2013年。どちらも転機を迎えた年であり、つまらない人生においても忘れられない出来事が起きている。

 

とりわけ、今からちょうど16年前の2002年3月26日は、一生心に残るだろう。

 

 

当時は借家住まいであったが、居間の窓から桜が見えた。2002年の開花が例年より早かったことは、わたしのような鈍感な者でもすぐに分かった。

 

古い木造住宅の枝垂れ桜であったが、今でもありありと目に浮かんで来る。ピンクと言うより赤に近い感じで、だからこそ強烈な記憶になったのだろう。

 

桜と聞くと、わたしは二人の作家を思い出す。梶井基次郎と坂口安吾。二人には共通した感覚があったのかもしれない。

 

- 桜の樹の下には屍体が埋まっている! 

(梶井基次郎「桜の樹の下には」青空文庫)

 

- 桜の花の下は怖しい

(坂口安吾「桜の森の満開の下」青空文庫)

 

 

桜の花は短かい。パッと咲いてパッと散る。潔さと美しさが同居し、実のある生と死の象徴のようにもなっている。

 

太く短く。高1の時の担任が学級通信で述べた言葉。わたしの心を捉え、わたしもそうなりたいと思った。

 

そしてすぐに浮かんだ。桜のように生きたい。しかし現実は、なかなかそうはならないものだ。

 

今年は桜の開花が早い。史上3番目の記録。だからこそ、3月26日という日に感慨深いものを覚える。

 

桜のような生き方。わたしは16年前に改めて教えられたのかもしれない。