チャコちゃんは立ち止まっていました
茶トラの背中に陽を浴びながら
じ~っと見つめていました
縁側の向こうにブルーのポリバケツ
乗ってみたい 乗ってみたい
いつも思っていました
今日こそは
心を決めて 自分に言い聞かせ
絶対トライする 絶対やる
そんな気持ちでいっぱいでした
縁側には 洗濯機や物干し竿
古本や水道たちもいました 合唱しています
(行け行け行けよ チャコちゃんよ)
(きみならきっと やり遂げる)
(自信を持とう プライド持とう)
(きっときっと なし遂げる)
チャコちゃんの耳にも入っていました
やるよ きっとやるよ
あたしならきっとできるよ
足がむずむずしてきました
こちょこちょこちょこちょ 落ち着かなくなりました
今だ!
意を決して チャコちゃんが跳び上がりました
ふわっと体が浮いて すとんと着いて
見事成功しました
縁側から拍手が起こり ガタガタバタバタしました
チャコちゃんはポリバケツの上に乗っています
知らんぷりをしながら 前足から背中へ
背中からお腹へ 行儀よく ペロペロしました
縁側の隙間から お母さんが見ていました
にっこり微笑んでから 出掛けていきました
家の中のおばあちゃんは やかましいと感じながら
こっくりこっくりしていました
暑くもない寒くもない 陽の光が注いでいました
チャコちゃんは心の中で思っています
(次はカーテンね)