通過

窓がガタガタ鳴り 家がグラグラ揺れ

古い木造住宅が ザワザワしている

 

「どう?アタシの威力。凄いでしょう」

 

フウ子の声だ

 

「フン、威張ってどうする。いずれいなくなるだろう」

 

気張って応えると 意地悪な感じで響いてきた

 

♪そうだよそうだよ そうなのよ

♪ここへ来たなら 消えてゆく
♪あっという間に 消えてゆく

♪でもね けどね あのね
♪みんなおんなじ 定めなの

 

窓がガタガタ鳴り 家がグラグラ揺れ

古い木造住宅が ザワザワしている

 

「どう?アタシ元気でしょう。怖いでしょう」

 

またもフウ子の声

 

「ヘン、今だけだろう。いずれ力もなくなるよ」

 

自慢げに応えると 再び意地悪な調子で聞こえてきた

 

♪だからなんなの なんなのよ

♪元気があるうち 栄えあり
♪元気がなけりゃ お静かに

♪でもね けどね あのね
♪みんなおんなじ それぞれで

 

明け方近く 古い木造住宅が静かになった

意地悪な調子もなくなった

シンッとした感じが戻り どこかしら拍子抜けした

 

いつものこと そうである

毎度のこと そうである

当たり前のこと そうである

 

それでも ポッカリした心の穴が

しばし消えることはなかった

わたしは独り 唄っていた

 

♪行ったよ行った 行っちまった

♪来ている間 疎ましい
♪上るお前は 騒がしい

♪でもね けどね あのね
♪みんなおんなじ どこでもね

 

(^。^)(^。^)(^。^)

 

 逝った
階段下